診療所を開設するには、医師や歯科医師であっても、単に建物を用意するだけでは不十分です。日本の医療制度においては、診療所を開くには「開設許可」を都道府県などの行政機関から取得する必要があります。そして、個人でなく「医療法人」として診療所を運営する場合は、さらに法人設立の手続きも求められます。この記事では、「診療所の開設許可」と「医療法人設立」の関係について、行政書士や社会保険労務士の視点を交えながら詳しく解説します。
診療所の開設許可とは?
診療所の開設許可とは、医師や歯科医師が一定の施設基準を満たした上で、都道府県知事などから診療所の運営を認めてもらうための行政手続きです。原則として、診療所は開設前にこの許可を取得しなければなりません。無許可で診療を行えば医療法違反となり、刑事罰の対象になる可能性もあります。
この許可を得るためには、施設の構造設備が医療法に適合していること、医師の配置や診療科の明確化、衛生管理体制が整っていることなどが求められます。行政書士などの専門家が関与することで、必要書類の整備や申請手続きがスムーズに進むケースが多く見られます。
医療法人とは何か?
医療法人とは、医療法に基づき設立された法人で、個人経営ではなく法人格を持って医療機関を運営するための制度です。医療法人には出資持分のある「社団医療法人」や、出資持分のない「持分なし医療法人(いわゆる非営利型)」などの種類があり、公益性の高い医療提供を目的としています。
医療法人を設立することで、事業承継がしやすくなったり、税制上のメリットがあったりするため、一定の規模以上の診療所や病院では法人化が進んでいます。設立には都道府県への認可申請が必要で、定款の作成、役員の選任、財産の拠出など、多岐にわたる準備が求められます。
診療所開設と医療法人設立の関係性
医療法人として診療所を開設する場合、法人設立と診療所開設の許可は切り離せない関係にあります。具体的には、まず医療法人を設立し、法人格を取得した後に、その法人が診療所の開設許可を申請するという流れになります。
したがって、個人開業とは異なり、法人開設と診療所許可の両方を同時並行的に進める必要があります。ここで行政書士のような士業のサポートが極めて有用となり、法人設立認可申請と診療所開設許可申請を適切なタイミングで行うことで、スムーズな開業が可能となります。
行政手続きにおける注意点と士業の役割
診療所の開設許可や医療法人設立の手続きは、専門的な知識が求められる分野です。例えば、施設基準に関する図面の作成や消防法上の確認、定款の文言や理事構成の適正性など、法令に適合しない場合は申請が却下されるリスクもあります。
行政書士は、これらの書類作成や官公庁との調整を一括して対応できるため、医療従事者が診療に専念できる体制を整えるうえで大きな支援となります。また、社会保険労務士は開設後の労務管理や保険手続きにおいても重要な役割を果たします。
まとめ
診療所の開設には、単に医師や歯科医師免許があれば良いわけではなく、行政による許可が不可欠です。さらに、法人として診療所を運営する場合には、医療法人の設立という大きな手続きが加わります。この二つの制度は密接に関連しており、開設時のスケジュール管理や法的要件の確認が成功のカギを握ります。スムーズかつ適法に開業するためには、行政書士などの専門家に相談しながら準備を進めることを強くおすすめします。

