医療機関の安定的かつ継続的な運営を目的に、個人開業医から法人化を目指す医師が増加しています。その中で重要なステップとなるのが「医療法人設立認可」です。これは医療法人を設立する際に、都道府県知事の認可を受ける法的手続きであり、法的な整備や行政への申請が欠かせません。本記事では、医療法人設立認可の概要から申請手続き、認可までの具体的な流れを、行政書士の視点も交えながらわかりやすく解説します。
目次
医療法人とは何か?個人開業との違い
医療法人とは、医師や歯科医師が一定の手続きを経て設立する法人格を有する医療機関のことです。個人開業と異なり、法人化することで事業の継続性や財務の透明性が確保され、資金調達や人材確保の面でも有利になります。特に複数の診療所を運営する場合や、後継者への事業承継をスムーズに行うためには、医療法人の設立が有効な選択肢となります。
医療法人設立認可の意義と法的根拠
医療法人は、医療法に基づいて設立される法人です。そのため、設立には所轄の都道府県知事の「認可」が必要です。これは営利を目的としない公共性の高い事業である医療行為を、適切に管理・運営するための制度的な仕組みです。無認可で法人化を進めることはできず、違法となる恐れがあるため、法律の専門家による事前相談が重要になります。
設立認可の申請スケジュールと提出書類
医療法人の設立認可申請は、年に数回、都道府県ごとに定められた受付期間があります。この期間内に、定款案や役員名簿、財務計画、診療所の概要、開設者の経歴など多数の書類を整え、申請を行う必要があります。行政書士としては、これらの書類作成や事前相談、窓口対応を通じてスムーズな申請をサポートすることができます。
認可までの審査と所要期間
申請書が受理されると、都道府県による審査が始まります。この審査では、法人の運営体制や財務状況、医療提供体制などが適正かどうかが確認されます。所要期間はおおむね3~4か月程度ですが、不備があれば差し戻しや修正指示が入るため、時間が延びることもあります。士業の立場からは、初回申請の段階で不備を出さないことが、全体のスケジュールに大きく影響するため、細部まで配慮した準備が求められます。
医療法人設立後の義務と留意点
無事に設立認可を受けた後も、医療法人には毎年の事業報告や会計書類の提出、役員変更時の届出など、多くの義務が課せられます。特に医療法人は公益性の高い法人であるため、営利目的の活動には制限があり、法令遵守が強く求められます。また、出資持分の取り扱いなどによって、将来的な経営継承に大きく影響を及ぼすこともあるため、継続的な法務・財務アドバイスが欠かせません。
まとめ:専門家の支援を受けた円滑な認可取得を
医療法人設立認可は、医師が法人化して地域医療を安定的に提供するための第一歩です。しかしその手続きは煩雑で、法的・行政的な要件も多いため、専門知識を持つ行政書士や税理士などの士業と連携することで、トラブルを避けスムーズな認可取得が可能になります。法人化を検討している医師の方は、早めに専門家へ相談し、戦略的に設立スケジュールを立てることが重要です。

