医療法人の運営に関わる方や、設立を検討している医師からよく寄せられる疑問の一つが、「事業年度は自由に決められるのか?」という点です。個人診療所とは異なり、法人化すると税務・会計・法務の取り扱いも変わるため、事業年度の設定には注意が必要です。この記事では、医療法人の事業年度についての基本から、実務上のポイント、専門家の支援まで詳しく解説します。
医療法人の事業年度は自由に設定可能
結論から言えば、医療法人の事業年度は原則として自由に決めることができます。3月決算や12月決算など、法人の都合に応じて選択することが可能です。ただし、定款に事業年度を記載する必要があるため、設立時や変更時には所定の手続が必要になります。
これは、会社法の適用を受ける一般の株式会社と同様で、医療法においても事業年度の具体的な期間について特段の制限は設けられていません。したがって、税務上や経営管理上の観点から最も適した時期を選ぶことができます。
事業年度を設定する際のポイント
事業年度を自由に設定できるとはいえ、決算や税務申告のスケジュール、理事会の開催時期、役員任期との兼ね合いなどを考慮する必要があります。
例えば、多くの医療法人が3月や12月に決算を設定するのは、国や地方自治体の補助金申請や医療保険制度の切り替えなど、公的スケジュールと整合性がとれるからです。また、税理士など外部の専門家の繁忙期を避けて申告業務を効率的に行いたい場合、5月や6月などを決算月にするケースも見られます。
誤解されやすいポイント
「医療法人は3月決算でなければならない」「行政が決算期を指定している」といった誤解をされる方もいますが、これは正しくありません。あくまで法人の自由ですが、設立認可時に提出する定款に記載した事業年度が公式な決算期となるため、後から変更する場合には定款変更と認可手続きが必要です。
また、社会医療法人や特定医療法人など、税制優遇を受けている法人形態の場合、別途要件が設けられていることがあるため、確認が必要です。
事業年度変更時の注意点
一度設定した事業年度を変更する際には、定款変更手続きと、所轄庁への変更認可申請が必要です。また、法人税などの税務手続きにも影響が出るため、事前に税理士などと十分に相談して進める必要があります。
変更により決算期が短縮または延長される場合には、申告・納税スケジュールが変わる点にも留意しましょう。特に、役員の任期が事業年度に連動している場合は、改選時期にも影響が出ることがあります。
専門家による支援内容
医療法人の設立や運営支援を行う行政書士や税理士は、事業年度の設定や変更に関しても的確なアドバイスを提供します。定款作成、所轄庁への認可申請書の作成、税務手続きのサポートなど、実務に精通した専門家の関与は非常に重要です。
特に、将来的なM&Aや事業承継を見据えた法人運営を考えている場合には、最適な事業年度を選定することが経営戦略上も大きな意味を持ちます。専門家の意見を踏まえたうえで、組織の実情にあったスケジュールを構築していきましょう。
まとめ:事業年度は自由だが戦略的に決めるべき
医療法人の事業年度は原則自由に設定できますが、単に「空いている月」で決めるのではなく、決算・税務・人事などの実務や経営戦略に即した形で慎重に選定することが重要です。特に設立時や変更時には、行政との調整や手続きが発生するため、専門家と連携してスムーズに対応できる体制を整えておくと安心です。
不安な点がある場合は、医療法人支援に詳しい行政書士や税理士に早めに相談することをおすすめします。

