医療法人を設立するには社員は何人必要ですか?

医療法人を設立するには社員は何人必要ですか?

医療法人を設立しようとする際、「社員は何人必要なのか?」という疑問を持つ方は非常に多くいます。これは、個人で開業していたクリニックを法人化したいと考えている医師や、新たに医療法人を立ち上げて診療所を開業したいと考える医療関係者にとって、避けて通れない重要な要件のひとつです。法人化には法律に基づく形式的な条件があり、「社員数」もその中で特に注意すべきポイントです。

今回は、医療法人の設立に必要な社員数とその役割、注意点について詳しく解説します。

医療法人の設立に必要な社員数は3人以上

結論から言えば、医療法人を設立するためには「3人以上の社員」が必要です。ここでいう「社員」とは、会社法における従業員のことではなく、医療法人の「構成員(=出資者または議決権を持つ人)」を指します。

医療法第39条では、原則として医療法人は「社員3人以上で構成される社団」として設立することが定められています。つまり、最低でも3人の社員がいなければ法人格を取得することができません。

なぜ3人以上必要なのか?

社員が3人以上必要な理由は、「医療法人は営利法人ではなく社団法人」であることに由来します。社団法人は、一定数の人の集まりであることが前提とされており、1人だけでは「集団」としての要件を満たせません。

また、社員総会を設置する必要があるため、議決権を持つ社員が複数いなければ法人運営に支障をきたします。こうした法人運営の実務面からも、3名以上の社員の存在が不可欠とされているのです。

よくある誤解:「家族でも社員になれるのか?」

よくある疑問として、「家族や配偶者でも社員としてカウントできるのか?」という点があります。結論としては、医療法人の社員には「家族・親族・配偶者」でもなることができます。実際、個人開業医が医療法人化する際には、配偶者や子どもをもう1人の社員とするケースが多くあります。

ただし、形式的に名義を借りるだけで実態のない社員を設定することは、認可を受ける際に問題とされることがあるため注意が必要です。社員は定款に名前を記載し、法人の意思決定に関与する立場になります。

申請時・設立時の実務的な注意点

医療法人を設立するには、都道府県知事の認可を受ける必要があります。その際、社員名簿や定款(社員の氏名を含む)の提出が求められます。提出書類に不備があったり、社員の要件を満たしていない場合は、認可が下りない可能性もあります。

また、医療法人設立後も社員総会の開催、議事録の作成、役員の選任などの手続きが継続的に発生します。設立時点だけでなく、法人運営の継続にも社員の役割は重要となります。

専門家による支援内容

医療法人の設立には、法律的・行政的な手続きが多数存在し、専門的な知識が求められます。行政書士や司法書士などの専門家は、以下のような形で支援を提供できます:

  • 医療法人設立の認可申請書類の作成支援
  • 定款作成および社員構成のアドバイス
  • 役員選任・社員総会の手続きのサポート
  • 設立後の各種届出や運営支援

特に初めて法人化を行う場合は、制度理解の不十分さによるミスを避けるためにも、専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。

まとめ:設立準備は「社員3人以上」からスタート

医療法人を設立するには、社員を最低3人以上用意する必要があります。これは単なる形式的な要件ではなく、法人運営を円滑に行うための実質的な要件でもあります。

家族でも社員になることは可能ですが、法人としての責任を持つ立場であることを理解しておく必要があります。設立をスムーズに進めるには、早い段階から専門家に相談し、計画的に準備を進めていくことが成功への鍵となります。